前回に引き続き、お酒デートについて見ていきましょう。飲み会の流れで、勇気を振り絞って、女性と「飲み直し」に漕ぎ着けたとき、ここはやっぱり感じのいい「BAR」を使いたいですよね。  
でも、普段あまり飲まない、飲んでもフランクな店ばかりだと、BARに対して苦手意識があるかもしれません。ということで今回は初心者でもBARを十全に活用できる「今さら聞けないBARに関する基礎知識」についてです。

まずはBARのシステムを・・・

誰でも、何度か通りがかったときに気になってる店、ありますよね?ちょっと雰囲気がいいかもと思いつつも、何となく入っていない店。それがBARなら、その勘を信じてみましょう。 「気になってて入ったことがない店があるんだけど、よかったら……」と素直に、知らないけど行ってみたいということを伝えて、足を運んでみましょう。もし行きたい店のアテがなかったり、知らない街だった場合、ネオン管でビールの名前が煌々と輝いているような店よりも、シンプルな外観のBARの方が「当たり」である可能性が高いかもしれません。
いずれにせよ、これはちょっとした冒険ですから、失敗しても体験の共有という意味で、悪くないデートとなるハズです。


BARというのは、そもそも「止まり木」を指す言葉ですから、カウンターがメインです。テーブルが無く、カウンターだけの店もありますし。もし店内ががらがらだったら、好きなところに座って構いません。バーテンダーに勧められた席に座っても、もちろんOKです。女性連れで入店したお客さんに、バーテンダーはそうそう変な席を勧めたりはしませんから。
少し怖いのをぐっと我慢して、堂々とカウンターに座れば、その後が楽になります。本当に。
さて。ここで早めに予算の不安を無くしておきましょう。ホテルの最上階や、誰でも知ってる有名店じゃない限り、BARはそんなに高くはありません。
チャージが500〜1000円、飲み物が1杯1000〜2000円、2人で3杯ずつ飲んだとして、安くて8000円、高くても15000円くらいだと考えればいいでしょう。 
もっと単純に計算したいなら、おおむね1杯1300円くらい、と覚えておいてください。
それぞれ1〜2杯をのんびり飲んで「お会計を」となったときに支払う金額は、1300円×2杯×2人で5000円ちょっとです。大丈夫、大丈夫。深酒さえしなければ、樋口一葉ひとりで何とかなりますし、諭吉先生ならひとりいればかなり安心です(笑)。

バーテンダーは敵じゃない!

「BARが苦手だ」という人には、バーテンダーとの対応がおっくうだ、という人が多いようです。自分に酒の知識がないことをバカにされるんじゃないか、上手に会話ができないから怖い、などなどのマイナスなイメージを持っているみたいです。
でも、バーテンダーは怖くありません。というか、バーテンダーこそ、お酒デートの強い味方なんです。
まず、彼らが「サービス業」であることに気が付いてください。彼らの基本コンセプトは、お客さんを楽しませること、リラックスさせることです。


静かに飲みたいお客さんのために、彼らは普通、あまり話しかけません。ですから、会話が苦手なら黙っていていいのです。お酒を飲みに行って、変に気を遣う必要がないんですから。
そして、そのときに女性と同席していればなおさらです。彼らは決して邪魔はしませんし、なんならお酒初心者の助けにもなってくれます。バーテンダーは優秀な黒子だと考えていいでしょう。
では、バーテンダーに助けてもらいつつの、賢いオーダーの仕方を見てみましょうか。
BARにはメニューがある店と、無い店があります。メニューがあった方が親切なように思えますが、BARに馴れてないならそもそも大量にお酒の名前が載っていても分からないのですから、メニューが無い方が気楽かもしれません。
オーダーするときは、前回のコツを応用して、とにかく聞いちゃう手です。アナタはドキドキを押し隠しきちんとカウンターに座っていますから、少し顔を上げてバーテンダーの視線を捕まえれば、彼らはまるで魔法のようにオーダーを取りに来てくれます。
もちろん、同席している女性に「決まった?」と確認はしておきましょう。
やって来たバーテンダーに「何にいたしましょうか?/おきまりですか?」と問われたら、固有名詞を使わずに、こんな感じ、とオーダーしちゃえばいいんです。無理に「マティーニをドライで。シェイクではなくステアで。ピールはホンの軽くで頼むよ、ジェイ」とか言わなくていいんです。

ということで、以下に無難なオーダーの例を挙げておきます。参考にどうぞ。
「食事を済ませてきてお腹がいっぱいなので、何かデザートになるような甘いのを」
「あまりお酒が強くないので、軽めのを。甘くなくてもいいです」
「さっぱりしたのがいいんですが、ソーダとかでは割らずに」
「ジンは苦手なので、何か他のお酒をベースにして。強くても平気です」
ちなみに、最近は季節のフルーツを常備していて、それをアレンジしてカクテル(名前を付けるほどではない、シンプルな感じ)として出してくれる店が多くなってきています。黒板などにそんなフルーツが書き出されてたら「洋梨を使って、あまり強くないのをお願いできますか?」とか頼んでみるのも簡単ですし、ハズれないで済みます。

同席した女性との会話は?

男性側の「BARへの苦手意識克服」に対する手だての後には、もちろん女性へのケアやらアプローチやらを考えなくてはいけません。
バックナンバーの「第9回 どうする!?ファーストタッチ(後編)」ででも触れたのですが、BARのカウンターは2人を接近させるナイスなアイテムです。お店の人に叱られない程度に椅子の角度を調整して、基本的には「2人だけの空間」を意識しましょう。
位置取りに関しての豆知識。あなたが一番奥、彼女がその隣に座るようにすると、彼女の視線の先にはあなたと壁しかありませんから、ちょっと効果的かもしれません。


次に、是非気をつけて欲しいのは、あまり勧めすぎないこと、です。よかれと思っても「おかわりは? おかわりは?」と勧めてはいけません。もしその女性がお酒に弱いのであれば、彼女は自分のペースで楽しく飲んでいるハズです。飲み干していても、まだ次を頼むには早いな、ということだってあります。なのにしつこく勧めるのは、親切ではありませんから。
ときおり、彼女のグラスを指して「どうする?」と聞いてあげるくらいにしましょう。
これで会話が盛り上がれば言うこと無しなんですが、常にそうそう盛り上がるとは限りませんよね?そういう困ったときに頼りになるのが、バーテンダーです。頼んだお酒が出てきて、ひとくちふたくち飲んだあと、感想を告げるのが一番「話しかけやすいパターン」でしょう。
「これ、ジンに何を混ぜたんですか?(ジンベースで、と頼んだ場合)」
「カルバドスを少々、リンゴのブランデーです(たとえば、ね)」
「へぇ、しっかりしていて美味しいですね。(と、ここで彼女の方に向き直り)ちょっと飲んでみる?(彼女がひとくち飲む)どう? リンゴのブランデーなんて飲んだことなかったなぁ。知ってた?」
こうやって、バーテンダーとのやり取りで始まった会話を、さりげなく彼女とのモノに戻しちゃうんです。バーテンダーに話しかけ始めた会話でも、軽く会釈するだけで会話を切り上げてしまって構いません。彼らは他の仕事をしに、すすーっと音もなくカウンターの中を移動していきます。

どうですか? 思ったより、簡単だったんじゃないでしょうか? 
あとはもう、あなたもお酒を楽しめばいいだけですから。
ただし。くれぐれも飲み過ぎないように、と蛇足ながら付け加えておきます。
初デートで沈没したら、シャレになりませんからね……。