恋愛コラム「そこに恋があるのだ」
Profile
愛称「マッピー☆」。7月21日東京都生まれ。立教大学卒業後、TOKYO FMのアナウンサーとして入社。2001年にフリー転向。現在、TBSラジオ「ストリーム」(月〜金/13:00〜15:30)や、TOKYO FM「Hits from the Heart」(土/16:00〜16:55)などに出演中。
趣味はドライブ、フラメンコ。特技は、ワインエキスパート!
Vol.107  別れを泣くより、別れを受け入れる・・・。映画「今宵、フィッツジェラルド劇場で」に寄せて

ラジオを愛するわたし達に、美しい映画が届いた。
巨匠ロバート・アルトマン監督、最後の作品「今宵、フィッツジェラルドで」。
実在するラジオ番組をモチーフにしたもので、
長寿ラジオ番組のラストショーを、繊細に追っていく<人間・人生劇>だった。
ラジオ番組を映画で「見せる」なんて、変な感じだ。
だが、これがまさに、素晴らしく見せる! 感激した。
ココロのなかで「ああ、いい。これ、この感じ。」とずっと叫んでいた。

 
舞台は、ミネソタ州セントポール、雨の土曜日。
ケヴィン・クライン扮するガイは、公開放送の保安係でいつもの劇場にむかうのだが、
実はラジオ局が買収されたために、今夜の放送が最終回となるのだ。
楽屋はいつもの盛り上がり、ショウが始まる。
ラジオショウの人気者メリル・ストリープ演じるヨランダや、おなじみの出演者たちと、
司会者・DJギャリソン(実在のDJギャリソン・キーラー、その人!)の、息のあったデュエットや会話。
表舞台と裏舞台で起こるハプニング(汗)、軽快な生演奏と、愉快なCMで進んでいくショウ・・・。
 
最終回を迎えるその夜、劇場に、純白のトレンチコートに、黒いタイトスカート姿の美女が迷い込んだ。
彼女は、<ある用件>があってやってきた「死」の天使だったのだ。

そして、番組はまるで何もなかったかのように、いつもの通りのラストパートへ。
DJは、最後の夜になることを、どのような言葉で、リスナーに伝えるのか・・・。

 
わたしにとっては、他人事とは思えない状況も多々描かれており、笑いと悲しみが混ざり合った感じで、
作品の上映時間を気にするのと同時に、番組の進行まで気になってしまった。
実在のラジオ番組を、週末よく聴いていたので、その表、裏まで見えたようで嬉しかった〜。

 
生演奏と、生歌がこの作品を盛り上げる。
ヨランダとロンダ姉妹や、ちょっとエロい、カウボーイコンビも、役作りはプロ中のプロ。その歌いっぷりにもビックリした。
現役アイドル、あの!リンジー・ローハンも、暗い眼鏡娘という意外な役所に体当たり、
かなりの見せ場で堂々と演じきっていて、すっかりファンになってしまった。
「音楽はセリフのようなものだ」とおっしゃるアルトマン監督の愛がなせるマジック、
ああ、一目お会いしたかった。
 
この作品では、大人の恋が見え隠れする。
印象的だったのは、メリル・ストリープが、ショウの合間に、DJギャリソンに、
「最後のショウなのだから、長い間ありがとうを言わないと」
とやや強く言うと、
「涙のさよならはいやだ」と冷たく返す場面。
二人は、付き合っていた過去をちょっとだけ見せる。

「始まったものは終わる、別れは涙無しで」
 
ここから2人の恋愛を想像すると、ギャリソンって男が見えてくるのだ。

恋愛、仕事、家族、すべてにメッセージがある作品ってすごい。
そしてすばらしい作品を作ったロバート・アルトマン監督本人は、(まるで映画のように)次のステージに旅立ったのですね。

「今宵、フィッツジェラルド劇場で」公式サイトはwww.koyoi-movie.com

 

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