
このコーナーでは、恋愛経験豊富な派遣OLのあたし、美咲(29歳)が
後輩の才媛OLの凛子(27歳・名門女子大卒、当たり前だけど正社員)と
ギャル系OLのミユ(21歳・もちろん派遣)と一緒に恋の成就の秘訣を伝授します。
まあ、ただの給湯室の井戸端会議という話もあるんだけど……。
今回はいつもの給湯室を離れて、
あたしの行きつけのオカマバーにやって来ちゃいました。
この店のママのエリコさん(本名・準之助、46歳)は、
あたしの恋愛の相談相手でもあるの。
IKKOさんとか假屋崎省吾さんとかオネエ系の人たちが、最近じゃテレビで大人気。
今までのオカマとかニューハーフといえば、
バラエティ番組の単なるにぎやかしに過ぎなかったけど、
今じゃオネエMANSはバラエティの主役を張ってるもんね。
でも、それもわかるような気がする。
最近のオネエMANSたちはIKKOさんがヘアメイク、假屋崎さんが華道と、
一ゲイならぬ一芸に秀でた人たちばかり。そんな
ひとつの道を究めた人たちが語る言葉って、
傾聴に値する含蓄のあるもの だと思うの。
あれ、そういやエリコさんは何の道を究めた人なんだろ?
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「バカね、アタシが究めたのは、もちろん
恋 に決まってるじゃないの」
カッコつけちゃって。準之助のクセに……。
「エリコさんに質問なんですけどー、
オネエ系の人たちって恋愛の対象も同じような趣味の人たちなんですか?」
「それは人それぞれだけど、アタシの場合はノンケの男しかダメね」
「えーっ、それって結構大変じゃないですかー」
「アタシは身体は男かもしんないけど、心は女なの。
だから、女として男を愛しているわけだから、いわゆる同性愛者には興味がないの。
あくまでもアタシを女として愛してくれる男が恋愛対象ね」
「ゲイじゃない人に、しかも男性を女性として愛させるって、
ちょっと想像もつかないぐらい大変そうですね。
それにオネエ系の人たちって今はかなりオープンになってきたとは思いますけど、
昔は偏見もあったと思うし苦労もされたんじゃないですか?」
「アンタ、いいこと聞いてくれるわね。
そうなのよ、オネエなんて人前で堂々と言えるようになったのは、
ここ10年ぐらいのことだもの。
それまでは公の場では自分の男のシュミなんて口にできなかったし、
ましてやノンケの男と付き合うなんてねえ……、ほとんどが忍ぶ恋よ。
もう涙なしでは語れないわ」
ええいっ、男のクセに泣くな! 気持ち悪い。
「誰が男じゃ、コラッ!」
あー、ビックリした。急に準之助に戻んないでよー。
ま、そんな
障害のある恋の数々を経験してきた
エリコ姉さんだからこそ、あたしら
女にとって絶好の恋のアドバイザーなわけよ。
「実際に好きな男性ができたら、どういうアプローチをするのですか?」
「そうねえ、まずアタシの場合、食事やデートに誘うのに3年はかかるわね」
「3年!?」
「だって、アタシが男の人を好きっていうシュミに相手を慣れさせなきゃいけないでしょ。
相手はノンケなわけだからさ。
そうすると、やっぱり2年とか3年は普通にかかっちゃうわけ」
「あたしだったら、3年もあったら最低でも5、6人の男と付き合ってるなー」
「それはミユちゃんだけだと思うけど」
そうそう、アンタはもうちょっと腰を据えて男と付き合ったほうがいいと思うわよ。
いくらなんでも男遍歴が激しすぎ。
でも、ミユなんかと違って、
オネエの恋はそれだけ一途 なんだねー。
「そりゃ、そうよ。
アンタら女と違って、男は星の数ほどいる、というわけにはいかないもの。
もう一期一会の精神 ね。
でも、本当は愛する人との出会いってそういうもんじゃないの」
「確かにおっしゃる通りですよね。
私たちって、ちょっと安易に人を好きになったり
嫌いになったりしすぎているかもしれませんね。
もっと真剣に恋愛をしないとダメですね!」
なに、この女は力入ってんだろうね。
凛子みたいな頭でっかちな女は、
こういういろんな経験をしてきたオネエの言葉に弱いんだよなあ。
眼がキラキラして気持ち悪いよー。
「いやいや、そんなことないわよ。
美咲にもいつも言ってるんだけど、
好きな男を自分のほうへ振り向かせるには や 忍耐 が本来必要なの。
アタシが思うに、
最近の女はそういう努力を怠ってるような気がする。
女であることに、あぐらをかいてるっていうかさ……」
「だって、ウチら女だしぃ(小声で)」
まあまあ、「灯台もと暗し」じゃないけどさ、
女だからこそ案外見過ごしちゃう恋愛の落とし穴があるかもしれない。そして、
オネエだからこそ女のダメな部分が見えちゃう
ってこともあるしね。
次回は、その辺についてエリコ姉さんにじっくり聞いてみるつもりよ。
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